YIN/YANG Balance – Part2
YIN/YANGバランスとは Part2
ここではYIN/YANGバランスについてさらに詳しい解説を行います。
YIN/YANGバランスのまとめを簡単に確認する場合はPart1の概要ページをお読みください。
目次
YIN/YANG 陰陽シンボル
陰陽太極図
YIN = 陰 YANG = 陽
陰陽(いんよう) YIN/YANG イン・ヤンと読みます
YIN/YANG理論についてさらに詳しい解説はこちら
服飾学におけるYIN/YANG理論について
1980年代にデイヴィッド・キビーの開発したボディタイプ・イメージID診断は、アメリカのコロンビア師範大学の服飾学の教授ベル・ノースラップが1930年代に発表したYIN/YANG (陰陽)バランスを用いた研究がベースとなっています。
ノースラップ教授は女性の身体的特徴、顔の特徴、声、歩き方、性質の一般的な印象などから、人々をさまざまな陰陽スタイルタイプのカテゴリーに分類し、そこからさらに調和する衣装のシルエット、デザイン、ライン、素材や色、製法などの詳細を東洋思想から着想を得て陰陽の原理で説明しました。現代の直線曲線といった指標によるスタイル分析の多くは、ノースラップ教授のYIN/YANG(陰陽)理論のアイデアをベースにしたYIN/YANGバランスの理論を簡略化して発展したものです。
ディヴィッド・キビー氏は著書の中で参照元について明確な言及はしていませんが、私個人の見解では主にノースラップに後続する研究者のハリエット・マクジムジー(Harriet Tilden McJimsey)の著書にあるスタイル分析システムに強く影響を受けているものと思われます。
Are You Yin, Madam,
Or Are You Yang?
By Hazel Canning
Lincoln Evening State Journal, 1936
ノースラップのYIN/YANG分析の研究を紹介する新聞記事より引用
Lincoln Evening State Journal, 1936
“女性の外観は大きく分けて二つのタイプで説明することができます。古代の東洋思想にある陰と陽(YIN/YANG)です。これはコロンビア大学の服飾学、服装心理学の専門家ベル・ノースラップ教授が10年間研究してきたテーマです。
YIN 陰とは繊細さ、気まぐれな性質、優美さ、柔らかさ、甘さ、優しさを象徴します。
YANG 陽とは強さ、大胆な性質、活発さ、剛健で揺るぎない様、厳格な潔さ、頼もしさを象徴します。
YIN 陰の本質は小さく、YANG 陽は大きい。ただし背の高い陰もあれば背の低い陽も存在します。つまりこれは女性自身の魂とアイデンティティに関するものです。”
Lady YIN
もしあなたがリリアン・ギッシュに代表される小鳥のような女性なら、あなたはYIN・陰です。あなたのスタイルには繊細さ、柔らかさ、優雅さが必要です。このタイプは、服にデリケートで情緒的な装飾を求めます。
Lillian Diana Gish (1893 – 1993)
リリアン・ギッシュ
Lady YANG
もしあなたがアラ・ナジモヴァに代表されるレオパードのような女性なら、あなたはYANG・陽です。しなやかで洗練されたドレープに華やかでエキゾチックなプリント、リッチな艶のあるファーがあなたには必要です。
Alla Nazimova (1879 – 1945)
アラ・ナジモヴァ
これらの用語YinとYangはコロンビア師範大学のミス・ベル・ノースラップによって、初めて人と衣服に関連付けて使用された。人の身体的特徴とその衣服の外観・スタイルの研究において、ノースラップ教授は記述に適用するために適切な用語の必要性を認識したためである。 YinとYangはこの世界における二つの対極のコントラストを端的に象徴し、広義の解釈に開かれた用語として採用された。これにより女性の外観や体格の特徴を表現する際に不快な意味合いを持つことなく、個人と服飾スタイルとの関係を示す独自の概念を構築することが可能になった。
ハリエット・T・マクジムジー Harriet Tilden McJimsey
参考文献
The Story of Costume told in Pictures 1935, Belle Northrup
The Arts of Costume and Personal Appearance 1943, Grace Margaret Morton
Art in Clothing Selection 1963, Harriet Tilden McJimsey
YIN/YANG の原理とは
YIN/YANG(陰陽)の概念は紀元前の中国を起源とする自然哲学で、すべての自然現象を対極する二つのエネルギーの相反と応合によって定義した東洋思想の中心となる概念です。
注)ここでは陰陽の二元論に関連する特定の思想や倫理、宗教、占いやスピリチュアルな言説とは直接的な関係はありません。ノースラップ教授は東洋哲学に着想を得て女性の体型を表現するための適切な用語としてYIN/YANG(陰陽)を採用しました。あくまでもボディタイプ・イメージID診断で使用されている用語の解説としてご理解ください。
陰陽の基本特性
自然現象や人為的な事象に現れる陰陽の働きを見てみましょう。
大きく分類すると次のような働きを象徴しています。
YIN
陰
受動性・キャッチする受容エネルギー
内側に吸い込む力(内向)
ソフト
曲線的
小さく丸い
デリケートで脆い
緩慢
ランダムな連続性
ブレンド
YANG
陽
能動性・働きかける活動エネルギー
外側に放出する力(外向)
シャープ
直線的
大きく角ばった
しっかりして堅い
緊張
規則的な連続性
コントラスト
陰陽のエネルギーは互いに影響しあい補いあいながら循環します。一方の側面が低下すると、もう一方の側面が同じ程度に増加する振り子のような状態を保ちながら調和しています。身近な現象の例として天気予報の高気圧と低気圧の関係をイメージするとわかりやすいかもしれません。
例えば光の発生源である昼の太陽はYANG(陽)の星です。日光を反射して夜空に浮かぶ月はYIN(陰)の星に分類されます。太陽の光はその日の活動する力を与え、月夜の静寂は私たちに眠りと休息をもたらします。私たちの世界が昼に活動し、夜に休むというのは陰陽が交互に繰り返すサイクルそのものです。
このほかにも自然現象はYIN/YANGのインスピレーションを無限に与えてくれます。ハリケーンの風でしなやかに曲がる椰子の木がYIN(陰)ならば、野球選手が力強くにスイングする頑丈な樫の木のバットはYANG(陽)です。
このように私たちは世の中に存在するYIN/YANG(陰陽)を感覚的に分類することができます。YIN/YANGは常に互いに依存し影響しあいながらそれぞれの目的を果たします。どちらか一方だけで成立することはありません。
これは「闇がなければ光はない、光がなければ闇はない」ことを意味します。もしYIN/YANGの原理が機能しなくなったらどうなるか想像してみてください。太陽が陽光を放つことを拒否し、活動的で創造的なYANGの力に反抗することを決めたらどうなるでしょうか。もちろん地球上の生命は存在することはできないでしょう。なぜなら、私たちの世界のすべてのものは、エネルギーの発生源として太陽に依存しているからです。
Illustration by pch.vector/Freepik
その一方で、月が夜の静寂と包容力を提供してくれることを拒否したらどうなりますか。その日の活動の疲労から回復するために必要な眠りと安らぎをどうして得られるでしょうか?
ここからわかるのは、YIN/YANGの要素をあるがままに受け入れた時に現れるパワフルで自然な調和です。これこそがボディタイプ・イメージIDの重要なポイントになります。
YIN/YANGバランスの抽象的な概念を活用して、自然があなたに与えた特別な資質を表現する方法を紹介したいと思います。あなたのスタイルを構成する身体的属性と性質の両方をYIN/YANGバランスで定義してみましょう。
陰陽の男性性と女性性について
ご存知の通り陰陽では陰が女で陽が男と分類されます。雄雌といった生物学的な性別や体の生殖機能に関して言えばそうなります。性別及び性自認が女性の場合、前提として全ての人がすでに陰属性の存在です。
だからと言って女=YIN、男=YANGではありません。男性性(masculinity)のエネルギーと女性性(femininity)のエネルギーは人間を含むすべてのものに両方存在します。性別が男性であろうと女性であろうと同じです。
ボディタイプ診断で適用されるYIN/YANGは雄雌の性別の階層で展開するものではありません。言うまでもなくYIN/YANGの配分でどんなにYANGが優勢だったとしても女性が男性になることは決してありません。
ここでの主題は女性の持つYINの美とYANGの美です。性別の陰陽と混同してしまうと女性であるという理由だけでYIN陰の特徴を選び、それを強調したいという無意識のバイアスにつながりYANG陽属性を女性に相応しくない要素として忌避することになるため、これから行うボディタイプ・イメージID診断は機能しません。
女性が個人差はありますが多かれ少なかれ「女らしさ」を自分自身に求めることは自然なことです。最初のうちはどんなに頭で理解したとしてもこのYIN/YANGの先入観の呪縛を解くのは難しいと感じるかもしれません。まずは次のことを念頭に置いて診断にトライしてみてください。
illustration by pch.vector/Freepik
- YINのみが女性の持つ魅力を表す要素ではない
- 女性の美しさや魅力にはYINの美とYANGの美がある
同じように男性の美しさや魅力にもYINの美とYANGの美がある - YANG要素が女性美を損なうことを意味しない
YIN/YANGバランスに関連する話題が日経新聞に掲載されていましたので紹介します
「男性性」と「女性性」日経新聞2022年3月25日 ・・・外部サイトへ移動します
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YIN/YANG バランス理論 まとめ
〜 YIN/YANGバランスとは 〜
ディヴィッド・キビーの著書「メタモルフィシス」にあるボディタイプ・イメージID診断の基準となる概念のこと。
Ⅰ. 服飾学におけるYIN/YANG理論とその起源について
個人の身体的特徴と衣装の関係を表すために使用された東洋哲学の陰陽論を着想源とする概念。1930年代のアメリカの服飾学研究者ベル・ノースラップを起源とする。現在の直線曲線といった指標を使ったスタイル分析の多くはノースラップのYIN/YANG理論をベースに派生している。
Ⅱ. YIN/YANGの原理とは
YIN/YANGの読み方 陰陽(いんやん)
YIN/YANG(陰陽)の概念とは紀元前の中国を起源とする自然哲学、すべての自然現象を対極する二つのエネルギーの相反と応合によって定義した東洋思想の中心となる考え方のこと。
Ⅲ. 陰陽の男性性と女性性について
男性性(masculinity)のエネルギーと女性性(femininity)のエネルギーは人間を含むすべてのものに両方存在する。YIN=女性、YANG=男性という生物学的な性差による分類はボディタイプ・イメージIDのYIN/YANGシステムでは適用されない。詳細は解説をお読みください。
- YIN要素のみが女性の持つ魅力ではない
- YANG要素が女性美を損なうことを意味しない
Ⅳ. ボディタイプID診断で使用するYIN/YANGバランスの仕組み
- YIN(陰)の要素は受動性・キャッチする受容エネルギー・内側に吸い込む力
- YANG(陽)の要素は能動性・働きかける活動エネルギー・外側に放出する力
このように定義された基本特性から派生した様々な要素を用いて個人の身体的特徴、本質を分類する。
代表的な特徴
YIN : ソフト 曲線的 小さく丸い 曖昧で脆い 後ろに引いて見える
YANG:シャープ 直線的 大きく角ばった ひき締まって硬い 前に押し出して見える
これらの組み合わせによって13種類のボディタイプ・イメージIDに分類される。
Ⅴ. YIN/YANGの身体的特徴と本質
陰・YIN
ソフト 丸い
ソフトで丸みを帯びたシルエット、砂時計のように緩やかで曲線的なライン、流れるようなシルエット、丸くふくらみのある形状、繊細な質感。ランダムな分散性。
膨張 下降 脆い 受動性 内側に吸い込むエネルギー
- 肉感的な体格 華奢な骨構造
- 小柄 短い手足 なで肩
- 柔らかい顎のライン
- 丸みのある顔立ち 厚みのある唇
- 大きくて丸い目
- ぽっちゃりした頬 丸く低い鼻
陽・YANG
シャープ 真っ直ぐ
シャープなエッジのあるシルエット、大胆でしっかりした直線的なライン、細長いシルエット、長方形や三角形などの幾何学的形状。規則的な連続性。
収縮 上昇 頑丈 能動性 外側に吐き出すエネルギー
- 筋肉質な体格
- シャープでしっかりした骨構造
- 大柄 真っ直ぐで長い手足 幅広で直線的な肩
- 尖った顎のライン
- 角ばった顔だち 薄くまっすぐな唇
- アーモンドアイまたは切長の目
- シャープな頬骨 高い鼻筋
KIBBE BODY TYPE IMAGE ID
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