スタイルエッセンスのYIN/YANGバランス 前編

スタイルエッセンスのYIN/YANGバランス 前編


スタイルエッセンス診断は、個人の見た目や気質の特徴を二つの対極の属性に割り当てて分類する「陰陽バランス」を使ったスタイル診断です。ここでは診断の核となる陰陽バランス分析について解説します。

ベル・ノースラップと陰陽バランス理論の歴史

1920年代から30年代にかけて、アメリカ・コロンビア大学の教授ベル・ノースラップは、中国の伝統的な宇宙観である「陰」と「陽」の概念をパーソナルスタイルに応用する研究を発表しました。

ノースラップの理論は、個人の外見や性質を「陰(柔らかく曲線的)」と「陽(シャープで直線的)」に分類し、それに基づいたスタイル選びを提案するものです。単なる外見の美しさだけでなく、個人の内面や雰囲気との調和を重視した点が画期的でした。この陰陽バランスによるスタイル分類は、ファッション理論を超え、個々の個性や魅力を最大限に引き出す指針として、当時の新聞や雑誌で紹介され、多くの人々に受け入れられます。

この研究は、のちに「ボディタイプ理論」や「骨格診断」などの基盤となり、パーソナルスタイリングの発展に大きく貢献しました。現代では、さまざまなスタイル分類法が登場し、ファッション業界だけでなく、パーソナルブランディングや自己表現の分野にも広がりを見せています。

よく知られている例でいうと「キビータイプ」として有名なデイヴィッド・キビーのボディタイプイメージID診断は、ノースラップの陰陽理論を基に発展したものです。「陰と陽の調和」という彼女の考え方は、時代を超えて受け継がれ、多くの人が「自分らしさ」を見つけるヒントとして活用されています。

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私がご紹介する「スタイルエッセンス診断」もノースラップの考案した陰陽バランスによるスタイル分類方法をベースに構成されています。

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1930年代 ノースラップの陰陽バランス理論を紹介する新聞記事

あなたは陰? それとも陽?

“女性の外観は大きく分けて二つのタイプで説明することができます。古代の東洋思想にある陰と陽(YIN/YANG)です。これはコロンビア大学の服飾学と服装心理学の専門家ベル・ノースラップ教授が10年間研究してきたテーマです。

Lincoln Evening State Journal, 1934

  • 陰とは繊細さ、気まぐれな性質、優美さ、柔らかさ、甘さ、優しさを象徴します。
  • 陽とは強さ、大胆な性質、活動的、しっかりとしていて揺るぎない様子、厳格な潔さ、頼もしさを象徴します。

YIN 陰の本質は小さく、YANG 陽の本質は大きい。背の高い陰もあれば背の低い陽も存在します。見た目に限った話ではありません。つまり陰と陽は女性自身の魂とアイデンティティに関するものです。”

ノースラップのYIN/YANG分析の研究を紹介する新聞記事より一部引用

ノースラップのYIN/YANGの原則によれば、「陽」のタイプの女性は力強く印象的なレオパードや鷹を思わせる迫力があります。一方、「陰」のタイプの女性からは鹿やハチドリのような穏やかでデリケートな優美さを感じさせます。これがスタイルエッセンス分類の核となる視点です。

左の記事: Miami Daily News Record Feb,19-1939
右の記事: WinnipegTribune July,28-1934

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教授が提唱する新しい服装理論

―中国の芸術と哲学に基づくスタイル法則―

ニューヨーク、1934年7月28日 付

Are You a “Yin”? or a “Yamg”?

あなたは「陰」? それとも「陽」?

もし自分のタイプを知らなければ、魅力的に装うことはできません。これは、コロンビア大学の美術教授ベル・ノースラップ氏が提唱する「陰陽理論」に基づく新しいファッション理論です。中国の芸術や哲学から着想を得たこの理論では、「陰」は繊細さ、柔らかさ、優しさ、穏やかさを、「陽」は力強さ、エネルギー、躍動感、活力を象徴します。

ノースラップ教授によると、洋服を選ぶ前に自分がどちらのタイプに属するかを知ることが重要です。彼女は次のようにアドバイスしています。


「陰タイプの女性は、柔らかな色合いや軽やかな生地、フリルや曲線的なデザイン、繊細な装飾が似合います。一方、陽タイプの女性は、直線的なシルエット、印象的な濃い色、しっかりとした質感の生地を選ぶべきです。」

ノースラップ教授が最近発表した調査結果によると、多くの女性は自分に似合う服を知らずに選んでいることが明らかになりました。彼女はこう強調します。

「体型よりも個性や気質に合った服を選ぶことが大切です。笑い方や歩き方、話し方が、その人にふさわしい装いを決めるのです。」

Professor has a new theory about dress
WinnipegTribune
掲載記事から引用

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なぜ「陰と陽」?


女性の身体的特徴を陰陽に置き換える方法は、個人の体格に対する優劣の価値観やその他の不快な表現から切り離して解析するための革新的なアイデアです。

ノースラップは「陰陽」YIN/YANG という言葉を使う理由をつぎのように述べています。

これまで私たちの外見の特徴(周囲の人々が抱く印象)や、他の人が私たちの服装をどう認識しているかを判断するための、満足のいく測定基準はありませんでした。 

個人の外見的な特徴と衣服の関係を研究する際に、女性の容姿と洋服の特徴を一つのまとまりとして捉える必要があります。

しかし、人の見た目の特徴と服の特徴を同列にまとめて適切に表現することは、とても難しい課題です。私たちの言葉には、失礼にならずにこれを分かりやすく、かつ比喩的に表現できる適切な言葉がありませんでした。

そこで私は、中国哲学の「陰」と「陽」という概念を取り入れることにしました。これらは、体型や容姿を比較したり分類したりする際に非常に便利な言葉です。

服装を表現する際、一般的な形容詞が人に対しては適さないことがあります。例えば、「背が高く筋肉質の女性」とは言えても、「筋肉質の布」とは言えません。一方で、布地の質感を「粗い」と表現できても、人をそのように形容するのは不適切です。しかし、これらの特徴を「陰」と「陽」として捉えることで、人と服の調和を客観的に理解しやすくなります。

陰と陽は対照的な性質を表し、服装や個人の特徴を表現する包括的な言葉として広く活用できます。

  • 丘の日向の側や昼の光
  • 活力・突破力・力強さ

  • 丘の日陰の側や夜の闇
  • 静けさ・受容性・穏やかさ

中国では古くから、この世のすべてのものの中に「陰」と「陽」の力が存在すると考えられてきました。陰陽は二つの正反対のエネルギーを象徴します。キリストの誕生の数世紀前、光と闇のシンボルが中国の巨大な石に刻まれ、数世紀にわたって徐々にその解釈が変化してきました。

陰はかつて丘の「日陰の側」や「夜の闇」を指していましたが、次第に「静けさ・受容性・穏やかさ」という意味を持つようになりました。

陰は、川沿いの肥沃な谷に例えられ、流れる水のしなやかさ、苔の柔らかさ、ガラス窓に描かれる霜の模様のような繊細な性質を持ちます。月は「太陰」と呼ばれ、大いなる陰を象徴し、夜の静けさと安息を表します。

陽は丘の「日向の側」や「昼間の天の光」を象徴していましたが、やがて「活力・突破力・力強さ」を表すようになります。

陽は切り立った山頂に例えられ、花崗岩の重さ、金属の硬さ、炎の力強さといったものに表れます。「太陽」とは大いなる陽を象徴し、光で世界を明るく照らし生命を育む存在です。

東洋文化において、陰と陽はすべてのものの中で絶えず変化しながら共存しています。人が見るもの、聞くもの、考えるもののすべてに陰陽のバランスがあるのです。
西洋の文化にもこのような対極的な概念は認識されていますが、それを的確に表す言葉が存在しません。

ベル・ノースラップ著「衣装と個性」の問題を解決するためのアプローチ、1936年、アート雑誌Art Education Todayの掲載論文より引用

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このようにして「陰陽」は、今から約100年前にノースラップによって、服装だけでなく個性を判断する際にも非常に有用なものとして採用されました。この言葉は対極にある二つの要素の間に無限のバリエーションがあることを示す尺度となりました。

ノースラップの考え方は、当時まだ存在しなかった「ボディポジティブ」 の概念にも通じるものがあります。彼女は、個人の美的な可能性を否定するのではなく、それを理解し、最大限に引き出すことを重視しました。現代の曲線直線による分類の始まりとなった分析手法と位置付けられています。

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東洋思想の陰陽論

陰陽の概念は紀元前の中国を起源とする自然哲学で、すべての自然現象を対極する二つのエネルギーの相反と応合によって定義した東洋思想の中心となる概念です。

世の中のあらゆる物質・現象を、陰・陽の二つのエネルギーで構成されるものと考え、どちらの気が強く現れるかにより、万物を陰と陽に分類します。例えば太陽は陽、月は陰、天は陽、地は陰にあたります。

陰陽の原理では本来、陰と陽はお互いを構成する要素と考えられています。どちらが欠けてもバランスの取れない「等価」のものであって、善悪や優劣などの価値判断とは関係のないものです。

  • 陰は、大地、女性性、暗闇、受動性、吸収、下降するエネルギーを象徴し、偶数や沈降した谷、川の流れに現れます。
  • 陽は、天、男性性、光、活動性、貫通、上昇するエネルギーを象徴し、奇数や隆起した山に現れます。

この二つの力は「太極」から生じ、互いに影響を与えながら、宇宙や万物の変化を生み出します。一方が増せば、もう一方は減少する関係にあります。天気予報の高気圧と低気圧の関係も陰と陽で表すことができます。

陰と陽は相互補完の関係によって循環します。どちらか一方のみでは存在することができません。陰陽が調和した状態は、円の中に光と闇の二つの部分として描かれます。

同様に、ノースラップの陰陽バランス理論でも陰と陽はどちらも等価の要素として定義されています。

陰陽のシンボル
陰陽太極図

陰陽の概念は、古代中国の哲学に由来し、世界のあらゆるものを「陰(受動的・柔和・内向的)」と「陽(能動的・力強い・外向的)」という相補的な要素で捉える考え方です。しかし、この二元論が西洋やその他の文化に広まる過程で、社会的なジェンダーロール(性別による役割の固定観念)と結びつき、男性優位の価値観を強化する方向に利用されてきた側面もあります。

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陰=女性、陽=男性という単純化の問題

本来、陰陽は性別を直接的に表すものではなく、むしろ全ての人間の中に両方の要素が共存しているという考え方に基づいています。しかし、歴史的に「陰=女性的」「陽=男性的」と解釈されることが多く、その結果、以下のような偏見が生まれました。

  • 陽(能動性・強さ・決断力)=男性的な美徳、理想的なリーダー像
  • 陰(受動性・柔和さ・従順さ)=女性的な美徳、支える役割の理想像

このような見方は、男性が主導権を握るべきであり、女性はサポート役に徹するべきだという古典的なジェンダーロールを正当化するために利用されてきました。結果として、女性に対して「控えめであるべき」「積極的すぎると魅力が損なわれる」といった社会的プレッシャーを生み出し、逆に男性には「感情を表に出してはいけない」「決断力がなければならない」といった無言の制約を課してきた背景があると考えられます。

一部の伝統文化やファッション理論では、「女性らしさを引き立てるには陰の要素を強調するべき」「男性は陽のスタイルを選ぶべき」といった考えが見られます。しかし、これは個人の多様性を無視し、性別に基づいて限定的なスタイルを押し付ける偏見につながります。

もちろん、ジェンダーロールを固定化する従来の考え方がすべて間違っているわけではなく、その価値観に安心感を覚える人もいます。重要なのは、どちらのスタイルも自分の意思で選べる自由があることです。

実際には、女性でも「陽」のエネルギーを強く持つ人は多く、パワフルでシャープなスタイルが似合う場合がありますし、男性でも「陰」の特徴を活かした繊細で優雅なスタイルが魅力的に映ることがあります。

スタイルエッセンスで扱う陰陽バランスの解釈には、主従や善悪、男らしさ、女らしさの概念は含まれません

陰陽の概念を性別や「男女の役割」ではなく、「個人の特性」として捉え直すことで、ジェンダーに縛られない自由な自己表現が可能になります。

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自然や芸術作品に見られる陰と陽

・自然

自然界には陰陽の対比が顕著に見られる。「陽・YANG」は樫の木や太陽のような力強さや威厳、男性的なエネルギーを象徴し、「陰・YIN」は月やつる植物の蔦のような柔らかさ、繊細さ、女性的なエネルギーを象徴します。

アマゾンの熱帯雨林とエベレスト山頂

柳の木と糸杉

・建築

建築においても、繊細な装飾を持つタージ・マハルは陰、大胆で力強いパルテノン神殿は陽と分類される。

タージマハルとパルテノン神殿

ホビットの家とクライスラービル

・絵画と音楽

ボッティチェリやモネの絵画が陰、レンブラントやルーベンスの力強い筆致が陽とされる。音楽では、ドビュッシーの繊細な旋律は陰、ベートーヴェンの壮大な交響曲は陽の特徴を持つ。

モネの睡蓮とモンドリアンのコンポジション

左・聖母マリアの胸像(14世紀)と
右・王妃ネフェルティティの胸像(紀元前1345年)

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・人物とファッション


陰陽の特徴は人間にも当てはめることができる。たとえば、ジャネット・ゲイナーやリリアン・ギッシュは陰的な女性として、グレタ・ガルボやキャサリン・コーネルは陽的な女性として分類される。陰の服装は軽やかで繊細なレースやリボンを多用し、陽の服装は構築的な仕立てと堂々としたシルエットを持つ。


左ジャネット・ゲイナーと右グレタ・ガルボ

マリリン・モンローとジョーン・クロフォード

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陰と陽は大きく分類すると
小さな円と大きな四角に象徴されます。

YANG
大きく角ばっている

背が高い
大きい
角ばった
長い
かたい
成熟した
etc.

YIN
小さく丸みがある

背が低い
小さい
丸い
短い
やわらかい
若々しい
etc.

YANG カラーリリー

YANG ピューマ

YANGのイメージ
強さ、大胆、能動的、精悍、
論理的、節制、洗練、成熟

YIN すずらん

YIN コアラ

YINのイメージ
脆さ、繊細、受動的、優雅、
情緒的、奔放、素朴、若さと老い

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次の章では、ノースラップが女性の外見的特徴をどのように陰陽の概念に適用したのかを解説します。

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